私はかつて、自立を目指して活躍している女性に会ったとき、「結婚というのは、やはり女性にとっては、一つの大きなビジネスだと思います」とはっきりいわれたことがある。女性の自立を目指している人でも、未来にどんな男性とめぐりあえるかによって、自分の人生が大きく変わっていくだろうと思っているわけである。男性が会社の仕事に一生の幸せを託すのと同じように、女性は本質的に、どんな男性と添えるかによって、自分の人生の幸不幸が左右されると考える傾向があるのかもしれない。しかし、少なくとも結婚は、ビジネスでの関係のように割り切って考えられるものではない。男女の愛の芽生えはまことに自然発生的なもので、そこにはむずかしい理屈もなければ、功利的な取り引き関係もない。ただ何となく好きになり、付き合っているうちにだんだんと、「いつもそばにいたい」「一緒に暮らしたい」という欲求が生まれてくる。こうして、愛し合った者同士が結婚するというのが、自然のかたちである。だから、結婚は少なくともビジネス的なギブアンドテイク的な感覚では割り切れない。