シャネラーという流行語

2010-12-27

美しい白靴下につつまれた女の脚は、裸身を想像させてロドルフの欲望に火をつける。特権化され、フェティッシュとなった「裸身の一部」は、悦楽の《約束》の象徴なのだ。そう、「わたしをどうぞ」という、あの約束……。だがそれにしても、一九世紀までの脚を秘めたドレスは女を家の中につなぎとめていた。二〇世紀とともに、ひとりの女がこの鎖を断ち切って、女を家の外に解放することになる。その女の名を、ココーシャネルと言う。革命家シャネルココーシャネルは二〇世紀のスタイルの完成者である。シャネルは、一九世紀の女性ファッションをラディカルに覆して、新しいモードをつくりだした。ところが現在、シャネルというと、とうていそんなイメージではない。ことにブランドーブームの日本では、シャネルといえば高級ブランド、高級ブランドといえばシャネルというふうにブランドーイメージが定着していて、シャネラーという流行語まで生まれてしまったほどだ。それだけでなく、シャネルーモードの意味が全然ちがってしまっている。