鹿児島といえば有名なもののひとつに焼酎があるが、その肴に重宝される、いわしなどの新鮮な魚をすり身にして、豆腐などと一緒に油で揚げた「さつま揚げ」もまた、鹿児島の名産品として知られている。地域によって「てんぷら」、「はんぺん」などともいわれるこの「さつま揚げ」は、不思議なことにご当地、鹿児島では「つけあげ」と呼ばれている。地域によって食べ物の名称が変わることは少なくないが、ご当地「薩摩」の名を使わないのはなぜだろうか?その理由は、さつま揚げの由来に関係があるようだ。さつま揚げの起源には諸説あるが、一説によると沖縄料理に由来するといわれている。沖縄には魚のすり身を油で揚げた「チキアーギ」という郷土料理があり、これがルーツなのだという。江戸末期、第十一代薩摩藩藩主島津斉彬は、幕府の命令を受けて、琉球を統治していた。そのため薩摩と琉球の間で交流が盛んに行なわれ、沖縄料理も数多く鹿児島に入ってきた。そのひとつがチキアーギで、斉彬は、漁村の雑魚を長持ちさせるために、これをまねた魚の加工品を作らせた。名前もそのままチキアーギが転誂して「つけあげ」となったのである。このつけあげは薩摩の地に定着し、戦後にはさつま揚げという名称で全国に知られるようになる。しかし、鹿児島の人たちの間では今も昔と変わらず「つけあげ」の名で親しまれているというわけである。また別の説では、すり身を板につけて切って揚げるため、つけあげといわれるようになったともいわれている。そのほか起源についても、紀州のはんぺんや蒲鉾に由来しているという説や、鹿児島が独自に生んだもので、それが沖縄のチキアーギの由来となったという説もある。
(参考)
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