しまむらの「企業文化」とも言える低経費構造について、もう少し解説を加えておきたい。かつての右肩上がり時代、小売業成長における最大のキーワードは、「売上がすべてを癒す」だった。いかに経費額が増大しようと、それを上回る売上の拡大が、結果として売上対比経費率を下げ、利益増加に直結したからである。こうした「売上拡大至上主義」は、「高コスト・高坪効率商法」という日本型商業ビジネスを生み出した。あえて高いコストをかけて坪効率を極大化させることが、万事高コスト構造の日本では最適化の道だった。簡単にモノが売れない成熟消費時代に、そんな手前勝手なビジネスはもう通用しない。しかし、わが国の多くの専門店チェーンは、いまだにその発想転換ができずにもがき苦しんでいる。一方、GMS勢も90年代以降の規制緩和に悪ノリして、ひたすら売上拡大志向の面取り合戦に終始した。しかし売場面積と経費の増大に売上の伸びが全く伴わず、単に生産性と採算性の急速な悪化をもたらした。20世紀型の、単なる売上拡大至上主義の経営は、もはや完全な行き詰まりを迎えている。そのなれの果てがダイエーだ。